凡人PhD留学記

特筆すべき功績のない、平凡ちょい上ぐらいの大学院生が、アメリカPhD留学出来た軌跡を記録します。

どのくらいの戦闘力でアメリカPhD留学する?〜成績表〜

皆様こんにちは、Lonです。アメリカPhD留学についてのブログをやらさせていただいております。前回、僕がいかに自信がない状態でアメリカの大学院にアプライしたかをお話ししましたが、今回は、僕が実際どれくらいの戦闘力でPhD課程にアプライしたのかを記したいと思います。アメリカのPhD留学に成功している人のレベルを知ることで、目指す目標の設定に役立ててもらえたらと思います!

アメリカのPhD課程の試験には、複数の書類を提出する必要があり、それら全てを考慮して総合的な観点で合否が決まると考えられます。大学院によって多少の違いがある場合もありますが、基本的には提出書類はほとんど同じです。現在僕が留学している、ニューヨーク州立大学バッファロー校のウェブサイトを参考に、どういった書類が必要なのかをまず一覧で見ていきましょう。

 

1. Transcripts (成績表)

2. GRE scores (アメリカ大学院の共通試験みたいなやつ)

3. Letters of recommendation (推薦状)

4. CV (学歴や経歴などを記した一覧)

5. English language proficiency exam scores (英語の能力が標準以上であることを示す試験のスコア)

6. Essay (志願理由やアピールポイントなどを簡潔に文章にまとめたもの)

 

それでは一つずつ掘り下げていきましょう。

 

1. Transcripts (成績表)

学部の成績表と、修士課程の人は修士の成績表も提出します。皆さんも大学の友人同士でGPA (Grade Point Average) という指標の話題になることも多いかと思います。授業の成績が秀、優、良、可でそれぞれ4, 3, 2, 1というスコアが割り当てられ、このスコアの平均を取った値がGPAですよね(少しシステムが異なる大学もあると思います)。僕が通っていた大学では、学科内でGPAが大きい順に優先的に研究室を選べるというシステムだったので、GPAや順位に関する噂が錯綜していました。懐かしいです。僕の個人的な感覚では、入試におけるGPAの重要度はアメリカの方が日本より圧倒的に高いと感じます。GPAが低くても日本の博士課程に合格して立派にやっている方を数人知っていますので、日本の博士課程ではそこまでGPAを見られないと思っていいと思います。一方、アメリカではPhDに応募する人はGPAが皆高いのではないかと感じます。

 

これを裏付ける僕の体験談があるのですが、何の取り柄もなかった僕はアメリカPhD受験を少しでも有利にしようと、自分に興味を持ってもらえることを狙ってカリフォルニア州の名門大学のある教授にあらかじめコンタクトを取りました。意外や意外、好感触で、"君に興味がある"とのことだったので少し浮き足立っておりました。その後、受験に必要な書類を一式送ってほしい、と言われたので送ったところ、"うちの学校にアプライする候補生のGPAは平均で3.8(記憶ではこのくらいでした)だから、君のGPAでは受からないだろう"と言われました、、、上げてからの急降下が何ともすさまじい(勝手に期待を上げたのは僕なんですが)。そんな僕のGPAは、昔の成績表を見て計算しなおしたところ、学部が3.2修士が3.67でした。学部で研究室を選ぶ時に公開された学部内での順位は、上から25%くらいの位置でしたので、まあ平凡より上くらいで圧倒的とは程遠いです。PhD受験の時期には、"計算間違ってない?絶対もうちょい高いはず、、、"と、まるでセンター試験ミスった時の自己採点後かのように何度もGPAを計算しなおしたものです。まあ何度やっても結果は同じでした。計算する度に情けなくもなりました笑。

 

これらの経験から、アメリカのPhD受験を考える際には、GPAを少なくとも3以上に保っておきたいものです。特に、学部のGPAは早いうちから頑張っておかないと手遅れになります。ちなみに参考程度ですが、THE世界大学ランキング2024 (https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings) によると、GPAが平均で3.8くらい必要なカリフォルニア州の名門大学は50位以内、僕を受け入れてくださったニューヨーク州立大学バッファロー校は301〜350位、東大と京大はそれぞれ29位と55位でした。GPAが僕くらいの場合は、筆頭論文など突出したものがないと一流大学はきついかもしれないので、大学ランキングなどに固執せず幅広く受験先を検討するのが重要です。受験する大学選びにはかなり時間をかけてください!もしGPAが低い場合は、アメリカの大学院はきついかもしれませんが、日本で一流の研究をすることを目指しましょう。東大や京大、OISTなどに限らず、素晴らしい研究をしている研究室は日本にも沢山あります!

 

長文失礼しました。続きは次は持ち越します。一つの項目だけでもついこれだけ書いてしまいますが、少しでも誰かの勇気になっていれば幸いです!

 

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特筆すべき功績がなくても、アメリカPhD留学は出来る!

皆様こんにちは、Lonです。最初の投稿なのでまず自己紹介とこのブログを創設するに至った経緯を記したいと思います。

 

田舎の高校から名古屋のある大学に進学して学士と修士を取り、現在アメリカのバッファローという都市でPhD留学4年目を過ごしています。専攻はChemical and Biological Engineering (僕自身はBiological Engineering、いわゆる生物工学) です。名古屋にいたころはケミカルバイオロジー(化学を用いて生物学的事象を解き明かす学問)の研究をしていました。パンデミックになる前の2019年にアメリカの7つの学校にPhD(日本で言う博士課程)に応募し、翌年、何とかギリギリ1校から合格をもぎ取り、現在に至ります。

 

皆さん、アメリカPhD留学していると言われると、何かよく分からないけど、崇高で、手の届かなさそうな感じ、みたいな印象を受ける人は1人や2人ではないでしょう?僕が留学を目指していた頃も、そんな感じの印象でした。何故かというと、ネットなどで調べて出てくるPhD留学している人たちを見ていると、皆何かしらの目に留まる、キラリと光る何かを持っていたからです。例えば、筆頭論文があるとか、学会で表彰された経験があるとか、日本最高峰で世界的知名度もあると思われる東大や京大で研究しているとか、、、

 

僕自身、田舎の高校時代では基本上位の成績でしたが、大学に入ったら各地から自分より出来る人が結構来ていて、そんなに上位ではなくなりました。僕自身は少しずつコツコツやる努力型なのですが、そのコツコツが僕の比ではないくらい膨大な積み上げが出来る人もいましたし、短期間で格段に伸びて、めちゃくちゃ仕上げてくるような人もいました。田舎で調子に乗ったヤツが都会に出て挫折する典型みたいな感じですね(まあ、挫折と思うほどではなく、それなりにやれてはいました)。

 

大学3年の後期に研究室に配属されてからは、研究に没頭、と言っても良いくらい研究に時間を費やしました。高校の時から漠然と研究がしてみたいと思いながら進学したこともあり、大分楽しんでやっていたのを覚えています。学会で発表する機会もいただけました。でも、費やした時間とは裏腹に、論文を書けるほどの成果は出せませんでした。周りを見ると、ちらほら筆頭論文を出す人たちが、、、ここで論文を出せていたら、自信も付いて、アメリカ留学への道が大分近づくのに、、、と、アメリカPhD留学を考え始めた修士1年の初めごろに思いました。

 

ここまでを見ると、学会などでの表彰、筆頭論文、世界的に名の知れた大学での研究経験などに加えて、圧倒的な成績もないという、本当に自分は何もない人間だなと当時は思っていました。実際、自信はほぼゼロに近かったです。今考えると、まあよく出願するまでに至ったなと、、、ネットなどでPhD留学に成功している人たちの経歴を見ると、尚更でした、、、

 

 

そんなキラリと光るものがなかった僕ですが、無事7校に応募し、奇跡的に1校だけがPhD候補生として受け入れてくれました!驚きと喜びと同時に、飛び抜けた経歴がなかったとしても、やれること頑張ってやっていればアメリカPhD留学は意外と手が届くんじゃないか、と考えが変わりました。恐らく、PhD留学をしている人はキラリと光る人たちの割合が実際多く、ブログに経験を綴っている人も必然的にキラリと光る人しかほぼいないので、"キラリと光っていないとPhD留学は出来ないんじゃないか"と勝手に自分を卑下し、自信を無くしていたんだと思います。

科学に携わる人にとっては、N数という概念がとても重要です。N数というのは、ある事柄が正しいことをを証明するのにN回試行をした、というようなことです。N数、つまり実験回数が多ければ多いほど、その事柄が正しいという根拠がより強くなるのです。日本からアメリカPhD留学に成功する、という事柄に対するN数は、正直、素晴らしい先人たちが残している情報を元にすればかなり多いと思いますが、僕の留学準備をしていた当時の感覚では、"僕のレベルでアメリカPhD留学に成功する"という事象に対するN数はN=0だと感じていました。だからこそ、自分を発信するのが得意ではない僕ですが、世の誰かのN=1になりたいのです。この1はとてつもなく大きいと個人的には感じています。

実際僕がどれくらいのレベルで応募をしたのかについては、これからの投稿で記していきたいと思います。海外PhD留学を考えている方々にとって、少しでも勇気の出るブログになれたらと思いますので、どうか皆さん見てください!

 

 

ちなみに、凡人留学記という名前でブログを書かせていただきますが、凡人というのは、アメリカPhD留学を考えるような人からしたら凡人、ということです。恐らく一般的に見たら、凡より上という風に映ると思いますし、誰でもアメリカPhD留学出来る、とは僕は思いません。でも、ある程度の成績が取れるような努力が出来るのならば、可能性は誰にでもあると感じます!